カンヌが認めた若手監督の意欲作「ゆ」「逃げきれた夢」 世界へはばたく足がかりに
第76回カンヌ国際映画祭は世界の巨匠、ベテランの華やかな競演の趣だが、もちろん門は若者にも開かれている。日本の若手監督の作品が、並行して開かれる部門で上映された。監督週間の「ゆ」、ACID部門の「逃げきれた夢」だ。製作の背景とカンヌでの反応は――。 フランス拠点に映画製作 「監督週間」で上映された短編映画「ゆ」は、富山県出身でフランスを拠点に活動する平井敦士監督の作品。男が銭湯を訪れ、預けられていた風呂道具を受け取り、財布から出した回数券で風呂を浴びる。その一部始終を、21分の中に淡々と描いた。セリフも説明もほぼないが、主人公が母親を失ったことが明らかになり、その悲しみがジワリと...
勝田友巳
2023.5.26