「小さき麦の花」
中国の農村。家族に厄介者扱いされる貧しい農民のヨウティエ(ウー・レンリン)は、障害のあるクイイン(ハイ・チン)と見合い結婚する。作物を育て家を作り、土にまみれ、ロバと共に質素だがぬくもりのある時間を重ねる。 わかりやすい豊かさからはみ出した暮らしだが、突然の嵐に泣き笑いしながら育んだ、2人だけの結びつきがある。自分には無理だとは思いながらも、こんなふうに互いを思いやり、生きられたらと夢想してしまうようなつつましくも揺るぎない愛情の形。 1983年生まれのリー・ルイジュン監督が描いた小さく特別な物語が中国でヒットしたのは、苛烈な格差社会を生きる若者の心に響いたからだろう。10カ月かけて撮影し...