この1本:「クラブゼロ」 クセになる気味の悪さ
過ぎたるは及ばざるがごとし。大量消費を組み込まれたシステムは人間を汚染しているが、健康志向と環境保全への意識も、行きすぎるとろくなことがない。「リトル・ジョー」など、刺激的、挑発的な怪作を手がけてきたジェシカ・ハウスナー監督が「ハーメルンの笛吹き男」から着想したという毒気たっぷりの寓話(ぐうわ)的スリラーだ。 新任の栄養学の教師ノバク(ミア・ワシコウスカ)は、生徒たちに「意識的な食事」の重要性を説く。少量ずつゆっくり食べれば、食べる量を減らせる。健康にもいいし環境負荷も軽くなる。ノバクは校長にも受けがよく、生徒たちも心酔する。ところがその言動は次第に過激になり、「人間は食べなくても生きていけ...