わたしの叔父さん
2019年の第32回東京国際映画祭でグランプリを受賞したデンマーク映画だ。主人公は14歳の時に家族と死別し、伝統的な酪農業を営む叔父に引き取られた女性クリス(イェデ・スナゴー)。27歳になった今は体の不自由な叔父を支えながら、家畜の世話などをこなしている。そんなクリスの決まりきった日常に静かな変化が起こり……。 セリフで多くを語らずとも、実に豊かな人情の機微をすくい取った逸品である。獣医になる夢や気になる男性への接し方に揺らめくクリスと、見た目も物言いもぶっきらぼうだが彼女を思いやる叔父。2人のやりとりは笑いも誘うが、小津安二郎を敬愛するフラレ・ピーダセン監督は、あえて通俗的な感動作に仕立て...