謎とスリルのアンソロジー:「ジャッカルの日」 素性不明の一匹狼が、フランス大統領暗殺の大仕事に挑む
キーワード「暗殺者の流儀」 私たちの現実生活ではまず出くわすことがないのに、映画や小説といったフィクションでは頻繁に描かれる〝職業〟とは何だろうか。答えは、ずばり殺し屋だ。ここで言うそれは、マフィアが抗争相手に差し向ける鉄砲玉のような末端の捨て駒ではない。特定の組織に存在せず、報酬を得て仕事を請け負う一匹狼(おおかみ)の殺し屋のことだ。 報酬の多寡は、殺しのミッションの難易度で決まる。ターゲットが「恨みある妻の浮気相手」の場合と「某国政府の要人」の場合では、報酬は桁違いに違うだろう。後者のケースを請け負える殺し屋はそうそういるものではない。そもそも一度失敗すれば重い懲役刑を科せられ、...
高橋諭治
2022.3.21