〝作る〟より〝伝える〟「報道的な中立離れた遺族目線で」 ドキュメンタリー映画賞「『生きる』大川小学校津波裁判を闘った人たち」 寺田和弘監督
「肩の荷が下りた気がします」。寺田和弘監督は受賞の知らせに、喜びよりも安堵(あんど)の言葉を口にした。というのも、東日本大震災で犠牲となった小学生の親たちが起こした裁判の経緯を追ったこの作品、作り手の主張よりも、真実を知りたいと願う親たちの思いを伝えることに徹していたから。「勧善懲悪でもなく、感動的なストーリーも作らなかった。わかりにくさに不安もあったが、やれることはしっかりやったつもり。受賞は遺族の活動が評価されたということだと思う」 東日本大震災から10年の記録 東日本大震災で、宮城県石巻市立大川小学校の児童74人と10人の教職員が犠牲になった。津波の到達が予想され、避難して無事だっ...
勝田友巳
2024.1.28