この1本:「パリの調香師 しあわせの香りを探して」 嗅覚と機知で再び歩む
事情を抱えた運転手と横柄な雇い主。何度も見たような組み合わせ。格差コンビが狭い空間を共有して移動するうちに、親密感や連帯感が生まれるのも、お決まりの展開だ。しかし、それと分かっていても楽しめるのが、ジャンル映画の良いところ。手堅い作りが安心だし、調香師という新鮮味もある。フランス映画らしいコメディーだ。 運転手のギヨーム(グレゴリー・モンテル)は、稼ぎが少なくて娘の親権を元妻に取られそう。気難しくて無愛想なアンヌ(エマニュエル・ドゥボス)に気に入られ、専属運転手となった。アンヌは優れた嗅覚を持つ調香師で、かつては大手香水ブランドとも仕事をした花形だったのに、突然嗅覚を失って仕事も信用も失って...