「 6月0日 アイヒマンが処刑された日」
第二次大戦中にユダヤ人の大量虐殺に関与したアドルフ・アイヒマンは、戦後に逃亡先のアルゼンチンでイスラエルの工作員に拘束された。その経緯やエルサレムでの裁判は過去に何度か映画化されてきたが、本作はこのナチス戦犯をめぐる歴史の一ページを新たな視点で描く。 1962年5月31日から6月1日の真夜中、すなわちイスラエルが死刑を行使する唯一の時間〝6月0日〟に絞首刑に処せられるアイヒマンは、遺灰を海にまかれることになった。しかし火葬が禁止されているイスラエルには遺体を焼く設備がない。アイヒマン専用の小型焼却炉の製作を依頼された町工場の人々、そこで働き始めた移民の少年、アイヒマンを警護する刑務官らの人間...