「プロミスト・ランド」 自然への畏怖と映像に目を見張る豊かな時間
1980年代、春の山形県庄内地方。マタギ衆の寄り合いで親方の下山(小林薫)は、熊の減少を理由に熊狩りが禁止されたと伝える。しかし、礼二郎(寛一郎)だけは反発。後日、鶏舎で働く20歳の信行(杉田雷麟)を訪ね、2人で熊狩りに挑む計画を持ち掛ける。信行は幼い頃、礼二郎に命を救われた恩義があり、兄のように憧れていた。ある日の早朝、2人は山に向かう。 雪解け水の急流、風に揺れる木々の音、雪を踏みしだく長靴のきしむ音が山に響き、雪の白と木々の黒の水墨山水画のような中を、ひたすら歩く2人のシーンが続く。いびつな起伏や木々の茂り、道なき道を進んでいく姿に力強さが宿っていく。設定もシンプルで、登場人物は少なく...