すぎた らいる
2002年12月09日 生まれ
1980年代、春の山形県庄内地方。マタギ衆の寄り合いで親方の下山(小林薫)は、熊の減少を理由に熊狩りが禁止されたと伝える。しかし、礼二郎(寛一郎)だけは反発。後日、鶏舎で働く20歳の信行(杉田雷麟)を訪ね、2人で熊狩りに挑む計画を持ち掛ける。信行は幼い頃、礼二郎に命を救われた恩義があり、兄のように憧れていた。ある日の早朝、2人は山に向かう。 雪解け水の急流、風に揺れる木々の音、雪を踏みしだく長靴のきしむ音が山に響き、雪の白と木々の黒の水墨山水画のような中を、ひたすら歩く2人のシーンが続く。いびつな起伏や木々の茂り、道なき道を進んでいく姿に力強さが宿っていく。設定もシンプルで、登場人物は少なく...
2024.6.28
寛一郎は「プロミスト・ランド」の主役、マタギの礼二郎役を打診された時、一度断ったという。「22、23歳のころ。まだできないんじゃないか、すごくやりたいけど、何かが足りない気がすると」。しかし「だったら撮影までに間に合わせればいい」と返されて「それはその通りだ」と思い直した。「チャレンジしなきゃいけないと思いました」。それから数年後、山形の山中での撮影に臨むことになった。 熊狩りに取りつかれた男たち 飯嶋和一の同名小説が原作。1980年代、熊が減りつつあった山村で、環境庁(当時)の通達により熊狩りが禁止される。反発した若いマタギの礼二郎は親方の言いつけに背き、年下の信行と共に熊を...
勝田友巳
2024.6.26
「青春」という言葉が表舞台から消えつつある。映画のタイトルでもめったに見ることがなくなった。どこか懐かしい葛藤と悔恨、鬱屈した空気が漂う。「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」(井上淳一監督)は1980年代を舞台に、当時青年だった井上監督と師匠である若松孝二監督を軸にした、実話に基づいた物語である。40年前の「青春時代」を再現した世界に飛び込んだのは、若手有望株の芋生悠と杉田雷麟。当時の若者と映画への熱量をどうとらえ、挑んだのか。 「シネマスコーレ」開館とその熱気 実名で再現 名古屋市の映画館「シネマスコーレ」は若松監督が83年に作ったミニシアター。開館以来の支配人、木全純...
鈴木隆
2024.3.22
1980年代、映画監督・若松孝二(井浦新)は名古屋にミニシアター、シネマスコーレを作る。支配人は東京・池袋の文芸坐をやめ、地元に帰ってサラリーマンをしていた木全純治(東出昌大)。浪人中の映画青年・井上淳一(杉田雷麟)は若松監督に弟子入りを懇願し、スコーレで働く金本法子(芋生悠)も映画から離れられない。 井上淳一監督が自身の青春時代をほぼそのまま再現した。ビデオが普及し始め映画館の運営が困難な時代。理由は異なるが厳しい状況下にある現在のミニシアターと重ね合わせた。一方で、映画に関わりたいが「撮りたいものが見つからない」青春、熱量をぶつけるものをなくした若者の虚無感と葛藤を映し出す。随所にあふれ...
2024.3.15
2022年末に行われた、ホラージャンル限定の一般公募フィルムコンペティション「第2回日本ホラー映画大賞」(主催:KADOKKAWA)で大賞を受賞した、近藤亮太監督の短編映画「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」が杉田雷麟を主演に迎え長編映画化。近藤監督にとっては、本作が商業映画デビューとなる。ホラー映画界重鎮の清水隆監督が総合プロデューサーを務めている。 ある日、母から送られてきたビデオテープに写されていたのは弟が失踪した瞬間だった。忘れられない忌まわしい記憶ではあったが、もう一度この事件と向き合い過去を辿るべく、霊感を持つ友人にビデオテープを託すことにするのだが…。 公開:2025年 ...
第40回小説現代新人賞を受賞した飯嶋和一の同名小説を原作に、助監督として阪本順治監督作品に多く携わり、本作が商業映画デビューとなる飯島将史がメガホンをとった。主演は、福田村事件(2023年)や 「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」(24年)の杉田雷麟と、「せかいのおきく」「首」(いずれも23年)の寛一郎。美術監督の原田満生が発起人となり、日本映画製作チームと世界の自然科学研究者が連携して、様々な「良い日」に生きる人々の物語を映画で伝えるYOIHI PROJECTの「せかいのおきく」に続く第2弾作品。 マタギの伝統を受け継ぐ山間の町で、閉鎖的な暮らしに嫌気が差しながらも、流されるままに日...
関東大震災の発生から5日後の1923年9月6日、千葉県東葛飾郡福田村に住む自警団を含む100人以上の村人たちによって、香川から訪れた薬売りの行商団15人の内、幼児や妊婦を含む9人が利根川沿いで殺された。行商団は、讃岐弁で話していたことで朝鮮人と疑われたのだった。この実際の事件を題材に、ドキュメンタリーディレクターの森達也がメガホンをとった。逮捕者は実刑になったものの、すぐに恩赦になり、100年の間歴史の闇に葬られた「福田村事件」。恐怖と不安の集団心理が加速し、暴走する群衆。過去の事件とは片付けられない今日性を孕んだ作品が関東大震災から100年となる2023年9月1日に公開される。 朝鮮で日本...
美しい村には、ある噂がある――この村では人が喰われるらしい。警察官・阿川大悟が暴く、穏やかな日常に潜む“おそろしい”真実とは。全世界震撼のヴィレッジ・サイコスリラー。 R18+ 配信開始:2022年12月28日 配信:ディズニープラス (C)2022 Disney