この1本:「水を抱く女」 愛の神話、ベルリンで
「水を抱く女」とは、何とうまい邦題だろうか。原題の「ウンディーネ」は、人間と結ばれることで魂を得る水の精霊のこと。そんな神話のヒロインを現代の大都市ベルリンに登場させた愛の寓話(ぐうわ)だ。 主人公ウンディーネ(パウラ・ベーア)は最初から人間の女性の姿をしており、ベルリンの街並みの模型が展示された博物館の歴史ガイドとして働いている。知的で無邪気な一面も持つ彼女だが、恋人から別れを告げられると「私を捨てたら殺すわよ」などと真顔で物騒なことを言う。やがてウンディーネは潜水作業員クリストフ(フランツ・ロゴフスキ)と相思相愛になり、幸せな日々を過ごすが、思わぬ悲劇に見舞われていく。 ウンディーネの...