この1本:「アイアンクロー」 求めた夢の呪縛と末路
思い返すと昭和の時代、プロレスはいかにも米国的なショーだった。強い個性を持ったマッチョな男たちが、力と技を競う。反則技を繰り広げる悪役はヒーローが成敗する。強い者が勝つ。正義は負けない。この映画の主人公は、1960年代から90年代に知られたプロレス一家、フォン・エリック家の男たち。闘う男たちの栄光と挫折の軌跡に、アメリカンドリームの呪縛と末路が浮かび上がる。 父親フリッツは「鉄の爪(アイアンクロー)」を必殺技に活躍。引退後は自分でプロレス団体を作り、息子たちをレスラーにして〝世界制覇〟を目指している。期待の星は次男のケビン(ザック・エフロン)、続いて三男デビッド(ハリス・ディキンソン)が人気...