この1本:「こちらあみ子」 真っすぐに見る世界は
あみ子は我が道をまっしぐら。「好き」を目指して脇目も振らず突進するから、衝突もするし摩擦も起こす。でもそんなのお構いなしの純度100%。すがすがしいとか痛々しいとか、ありきたりの形容を踏み越える、映画史でも屈指、強烈な主人公だ。今村夏子の同名小説を、森井勇佑監督が映画化した。 小学5年生のあみ子は両親と兄と暮らし、もうすぐ赤ちゃんが生まれてくる。元気で素直、思った通りに話し、感じたまま行動する。それなのにか、それゆえにか、周囲に受け入れてもらえない。お気に入りの同級生、のり君からは無視されるし、書道教室を開く母親も持て余し気味。やがて赤ちゃんが来ないと分かると、兄は不良になってバイクを乗り回...