毎日映コンの軌跡⑧ 女優賞の顔ぶれ 1970年代の斜陽化以降、個性的に
女優賞受賞者は、映画が斜陽化した1970年代以降、次第に個性的な顔ぶれが増えていく。映画会社の専属制は崩れ、撮影所体制も崩壊。自前のスターを育成できなくなって、映画界の外に人材を求めるようになっていた。 女優主演賞を見ると、第31回「あにいもうと」の秋吉久美子は公募オーディションで芸能界入りのきっかけをつかみ、第34回「もう頰づえはつかない」の桃井かおりは、文学座から映画界へ入った。両者とも、アイドル風の媚(こ)びや猫かぶりとは無縁、素のままのような演技が“シラケ”世代の象徴のように見なされた。 第33回「曽根崎心中」の梶芽衣子は、撮影所出身の最後の世代。日活にスカウトされて入社し、東映に...