この1本:「ぼくとパパ、約束の週末」 現代ドイツに見る〝昭和〟
誰もが「自分らしく」生きられる社会は理想だが、誰かと別の誰かの「自分らしさ」が衝突すると、どちらかが我慢しなければならなくなる。〝健常者〟が中心の社会では、我慢するのは〝健常ではない〟とされる人たちだった。今、それでいいのかと問われている。この映画の中心にいるのは自閉症の少年だ。彼が「自分らしさ」を通したら、どうなるか。実話を基にした家族愛とサッカー熱で彩られたウェルメードなドイツ映画が、共生やインクルーシブのありようを問いかける。 10歳の自閉症の少年、ジェイソン(セシリオ・アンドレセン)は自分の決めたルールに執着し、妥協を許さない。知能は高いが他人の感情を理解できず思ったことを口にして、...