受賞の期待は高かったが……「すずめの戸締まり」無冠のわけ:第73回ベルリン国際映画祭
第73回ベルリン国際映画祭は、金熊賞にフランスのニコラ・フィリベール監督のドキュメンタリー「アダマントにて」を選び、26日に閉幕した。今回のコンペ作品のレベルは決して低くなかったが、飛び抜けた作品が見当たらず、賞レースは本命不在。日本アニメを代表する「すずめの戸締まり」(新海誠監督)の受賞も期待されたものの、終わってみれば無冠に終わり、賞は欧州作品が席巻した。 「すずめの戸締まり」の反応は決して悪くなかった。ドイツの観客の歓迎ぶりから、日本アニメと新海作品の浸透がうかがえたし、上映会場も盛り上がった。小粒な作品が多かったコンペの中で、平凡な少女が世界を破滅から救う冒険と成長の物語を、壮大な...
勝田友巳
2023.2.27