この1本:「アダマン号に乗って」 あふれる人間性称賛
ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したニコラ・フィリベール監督による日仏合作のドキュメンタリー。フィリベール監督は「ぼくの好きな先生」で学校の教師と子どもたち、「人生、ただいま修行中」では看護師のタマゴといった市井の人々を、温かいまなざしで捉えてきた。本作はパリ・セーヌ川に係留された船を利用した、精神疾患を抱えた人たちのデイサービス施設にカメラを持ち込んだ。好意的な好奇心と人間性への称賛が、ここでもあふれている。 映画はいきなり、ギターに合わせて「自分を手放すな」とシャウトする男の歌声と姿で幕を開ける。情熱的で味があって、1曲終わって思わず拍手。本人も周囲も満足そうで、フィリベール監督は「彼を...