「やすらぎの森」
カナダ・ケベックの森林地帯で撮られた人間ドラマである。俗世間のしがらみを断ち、湖畔の小屋で暮らすチャーリー(ジルベール・スィコット)とトム(レミー・ジラール)の元に、ジェルトルード(アンドレ・ラシャペル)という老女が転がり込んでくる。60年も精神科療養所に入れられていたジェルトルードは、チャーリーらに支えられて森での生活になじみ、次第に生気を取り戻していく。 現代の世捨て人たる登場人物たちは、いずれも80歳超の高齢者。ケベックの作家ジョスリーヌ・ソシエの小説を映画化したルイーズ・アルシャンボー監督は、詩情豊かな自然をカメラに収め、人生の晩年という主題を探求した。人はいくつになっても誰かを愛し...