時代の目:「美と殺戮のすべて」 勇気伝えるドキュメンタリー
1970年代から身近にいたドラッグクイーンやゲイの友人たちにカメラを向け、時代の空気を生々しく切り取ってきた写真家、ナン・ゴールディン。「性的依存のバラード」などの作品で知られる彼女は、手術の際の投与によってオピオイド鎮痛薬の中毒となった経験を持つ。サバイバーであるゴールディンは、事態改善を訴えるための団体、「P.A.I.N.」を設立。利益を得た製薬会社と、オーナーのサックラー一家から多額の寄付を受けた美術館への抗議活動を行っている。 オピオイド危機はネットフリックスの映画「ペイン・ハスラーズ」などでも描かれている、アメリカの社会問題の一つだ。ゴールディンは薬の容器を放り投げ、時にはダイイン...