特選掘り出し!:「12日の殺人」 暗く横たわる〝女性であること〟の困難さ
フランスの地方都市。帰宅途中だった女子大生、クララが何者かに火をつけられ、焼死体で発見される。地元警察の班長になったばかりのヨアン(バスティアン・ブイヨン)率いるチームが捜査を始めるが、犯人逮捕に至らないまま時間だけが過ぎていく。 監督は群像ミステリー「悪なき殺人」で知られるドミニク・モル。本作でフランスのアカデミー賞と言われるセザール賞で、最優秀作品賞をはじめ6冠を受賞した。ヨアンが公道ではなくトラックを周回しながら自転車を走らせるシーンが象徴するように、見る者を渦の中にのみ込んでいくようなサスペンスだ。未解決事件を題材に、捜査官のドラマを描き出す「ゾディアック」を想起する人も多いかもしれ...