オンラインの森:「サマ」 妖しさに満ちた南米、未開の奥地への旅
奇妙で不可思議な引力を放つアルゼンチン発の歴史劇 スペイン語やポルトガル語圏の新作映画を日本に紹介する「ラテンビート映画祭」は、プログラムのクオリティーの高さに定評がある映画祭だ。商業的な難しさゆえに国内の配給会社が買い付けず、一般公開されない秀作がしばしば上映されるため、筆者は毎年ラインアップをチェックし、コロナ禍前には東京会場の新宿バルト9に何度も足を運んだものだ。 そんなラテンビート映画祭にて筆者がこれまで鑑賞した数十本の作品の中で、最も衝撃を受けたのが「サマ」(2017年、アルゼンチンほか)である。アルゼンチンの作家アントニオ・ディ・ベネデットが、1956年に発表した同名小...
高橋諭治
2022.4.10