この1本:「僕らの世界が交わるまで」 母子の性格描写が秀逸
高校生のジギー(フィン・ウォルフハード)は、ネットのライブ配信で自作の曲を披露し、世界中の視聴者から〝投げ銭〟を稼ぐ。ジギーの母親エブリン(ジュリアン・ムーア)はDV被害者のシェルターを運営し、助けを求める女性たちに真摯(しんし)に寄り添っている。2人とも善良で害のない人物だし家庭も一見平和なのだが、互いを理解できず、不満を抱えていた。実は似たもの同士の母子が、自分たち自身と親子関係を見つめ直すコメディーである。 というこの映画、俳優のジェシー・アイゼンバーグ初監督作。出世作「ソーシャル・ネットワーク」でもヒーロー映画の悪役でも、どこか屈折した人物をギリギリ露悪にならない線上で演じた巧者。鋭...