謎とスリルのアンソロジー 「カプリコン・1」
火星探査映像捏造を暴け 宇宙飛行士と記者の抵抗 キーワード「国家の陰謀」 アルフレッド・ヒチコックの代表作「北北西に進路を取れ」(1959年)がそうであるように、多くのスリラー映画はごく平凡な主人公が恐ろしい陰謀に巻き込まれるところから物語が動き出す。主人公は必死の抵抗を繰り広げ、かつての日常を取り戻そうと奮闘するが、もしも敵が国家のような巨大権力だったら勝ち目はほとんどない。「カプリコン・1」(77年)の主人公ブルーベイカーの場合もまさにそうだった。 人類初の有人火星探査船カプリコン・1の発射直前、船長のブルーベイカー(ジェームズ・ブローリン)ら3人の乗組員が突然降ろされ、砂...
高橋諭治
2022.2.15