「大地と白い雲」
中国・内モンゴルのフルンボイル草原で、牛や羊と暮らす夫婦。夫のチョクト(ポリチハン・ジリムトゥ)は都会に出ることを望み、妻のサロール(タナ)はこの場所での暮らしに満足していた。ある夜起こった悲しい出来事をきっかけに、2人の思いはさらにすれ違っていく。 目を奪われるのは、どこまでも続く大地と真っ青な空に浮かぶ雲。草原を駆ける馬の映像は息をのむほど美しく、タナの歌声にも詩情がある。ふらりと街へと出かけてしまうチョクトの姿を通して、価値観の変化で遊牧民としてのアイデンティティーが揺らいでいく物語を描き出す。 しかし夫婦のずれを巡る描写はありふれていて、身勝手に見える夫の心に寄り添うことは難しかっ...