特選掘り出し!:「WANDA」 社会の片隅でさまよう
アメリカン・ニューシネマ全盛の時代に、反体制でも悲劇的でもアンチヒーローでもない。愚かで投げやり、刹那(せつな)的だが、社会の片隅で危なっかしくもたくましく生き抜く女性像であり、女性を抑圧してきた社会の断面を冷ややかに映し撮った側面も見逃せない。 米ペンシルベニア州の炭鉱町に住むワンダは、離婚審問で夫の希望通り離婚。子どもも職も失い、有り金も取られる。ビールをおごってくれた男とホテルに行くが逃げられる。バーで会った傲慢な男デニスとともに行動し、言われるがままに犯罪を手伝ってしまう。 エリア・カザン監督の妻だったバーバラ・ローデンが監督、脚本、主演の伝説的な作品で、彼女の死後に評価が高まった...