のぎざか たろう
漫画家、原作:「夏目アラタの結婚」(小学館ビッグコミックスペリオール刊)
印象に残るのは泣き顔ではなくて笑った顔 「ディア・ファミリー」は、よく泣く映画だ。出てくる人たちが、たくさん涙を流す。家族の1人が不治の病で助からないのだから、当然ではある。それでもこの映画、印象に残るのは泣き顔ではなくて笑った顔だ。特に、映画の半ばで命が尽きる次女の佳美の笑顔がいい。その死は物語の終点ではなく、むしろ新たな始まりとなる。若い命が失われる悲運に見ている方も泣かされるけれど、見終わると前向きな気分になって、温かい気持ちで席を立つ。〝難病もの〟はたくさん見てきたけれど、こんな映画、なかなかない。 苦闘と挫折の10年 登場する坪井家の人たちは、みなたくましい。映画は...
勝田友巳
PR東宝
2024.6.13
原作は、2019年から「ビッグコミックスペリオール」(小学館)で連載し、累計発行部数が240万部のベストセラーとなった乃木坂太郎の「夏目アラタの結婚」。「イニシエーション・ラブ」(2015年)や「十二人の死にたい子どもたち」(19年)、「TRICK」シリーズ、「SPEC」シリーズなど、数々のスタイリッシュな映像美でファンを生み出してきた堤幸彦監督が、元ヤンキーの児童相談所職員と日本中を震撼させた連続殺人犯という異色の取り合わせの獄中サスペンスを描き出す。 主人公の夏目アラタ役は、「誰も知らない」(04年)で第57回カンヌ国際映画祭の最優秀男優賞を史上最年少で受賞し、その後も「包帯クラブ」(0...