この1本:さがす 三つの違う世界が交錯
世界は一つ。と無邪気に信じてはいけない。自主製作した「岬の兄妹」で注目された、片山慎三監督の商業映画デビュー作。大阪・西成の片隅で、全く異なる三つの世界が交錯する。 中学生の楓(伊東蒼)は父親の智(佐藤二朗)と2人暮らし。智が「懸賞金のかかった指名手配犯を見かけた」と言った翌日、失踪した。行方を捜す楓が手がかりをたどって工事現場を訪ねると、父親の名前で働いていたのは、指名手配犯の山内(清水尋也)だった。 物語はこの3人の視点から、三様に語られる。楓は、だらしないが憎めない智を追って、必死で走り回る。同級生との淡い恋模様にときめき、大人たちに反発してムチャをする。青春映画の薫りがする。重い病...