「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」 人生の喪失や悔恨、そして再生の物語
英国南西部の郊外で穏やかな老後生活を送るハロルド(ジム・ブロードベント)のもとに、元同僚の女性(リンダ・バセット)からの手紙が届く。その女性が余命わずかだと知ったハロルドは、彼女が収容された北部のホスピスをめざして歩き出す。 原作はレイチェル・ジョイスのベストセラー小説。英国縦断800㌔の旅を、徒歩で成し遂げようとする主人公の姿を描くロードムービーだ。なぜハロルドは無謀な旅に挑むのか。それを解き明かすキーワードは「信じる心」で、清らかな「光」のイメージが随所にちりばめられているが、宗教的な映画ではない。ハロルドが道中で出会う名もなき人々との交流、彼の痛ましい過去、冷えきった妻(ペネロープ・ウ...