「ホワイト・ノイズ」の一場面 Wilson Webb/Netflix (C) 2022

「ホワイト・ノイズ」の一場面 Wilson Webb/Netflix (C) 2022

2022.12.10

探査機オポチュニティのドキュメンタリーからノア・バームバック、人気コメディーのクリスマス特番まで、12月のオススメ配信作品5選:オンラインの森

いつでもどこでも映画が見られる動画配信サービス。便利だけれど、あまりにも作品数が多すぎて、どれを見たらいいか迷うばかり。目利きの映画ライターが、実り豊かな森の中からお薦めの作品を選びます。案内人は、須永貴子、村山章、大野友嘉子、梅山富美子の4人です。

村山章

村山章

「オンラインの森」筆者が持ち回りで、最新配信作品からオススメ作品をピックアップ。毎月10日に更新し、注目ポイントを解説します。ネクストブレークは、きっとここから!
 

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15年間、火星を走りまわった探査機「オポチュニティ」の奇跡のミッションを描いたドキュメンタリー

 2004年に火星に着陸したNASA(米航空宇宙局)の探査車スピリットとオポチュニティ。90日ほどで活動を終えるはずだったが、何度も窮地をくぐり抜け、オポチュニティにいたっては15年間も活動し続けた。世界の宇宙好きが応援した宇宙探査の舞台裏と、OPPYと愛称がついたオポチュニティとNASA職員の間に生まれる絆を描いたドキュメンタリー。予告編を見る限り、その世界観はまるでピクサーのアニメ「ウォーリー」か、ロボット版の「オデッセイ」。おそらく無機物であるオポチュニティに思いっきり感情移入することになるんだと踏んでます。泣くかも。
 
「おやすみ オポチュニティ」
Amazon Prime Videoで独占配信中
監督:ライアン・ホワイト
ナレーション:アンジェラ・バセット
 
 
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秘宝の謎をめぐるアドベンチャー映画がドラマシリーズで復活!「ナショナル・トレジャー  一族の謎」

ニコラス・ケイジ主演で2000年代に2作品が作られた謎解きアドベンチャー「ナショナル・トレジャー」が、ディズニープラスでドラマシリーズになって復活。新ヒロインが仲間たちと自身の家族にまつわる謎を追う、とのことだが、すべてを仕切り直したリブートではなく、ハーベイ・カイテルやジャスティン・バーサら旧キャストも登場する同じ世界線の物語になっている模様。「ナショナル・トレジャー」はミステリー、アクション、コメディーのバランスが絶妙で、老若男女を楽しませる安心感と安定感が魅力だったので、ここはぜひ堂々たる王道エンタメを貫いていただきたい。
 
「ナショナル・トレジャー 一族の謎」
ディズニープラスで12月14日(水)から独占配信開始
監督:ミラ・ナイール(1話)、ネイサン・ホープ(2話)
製作総指揮:ジェリー・ブラッカイマー
出演:リゼット・オリベラ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ハーベイ・カイテル、ジャスティン・バーサ
 

Netflix (C) 2022

天才俳優の父親はさらに破天荒な天才だった!?「“Sr.”:ロバート・ダウニー・シニアの生涯」

 近年はすっかり「アイアンマン」「アベンジャーズ」の人として認識されているロバート・ダウニー・ジュニアだが、1980年代からハリウッドきっての演技派として(ときに問題の多い私生活で)名をはせてきた。しかし「ジュニア」と付いている以上、本家のロバート・ダウニーがいるはずで、父親のロバート・ダウニー(シニア)は、アメリカのインディペンデント映画シーンでは伝説的な映画監督。本作はロバート・ダウニー・ジュニアのプロデュースで、父親のキャリアと人となりを伝えるドキュメンタリー作品。日本では公開作が少なくてあまり知られていないが、クセのある役柄が得意なジュニア以上にクセのあるシニアの魅力を知るいい機会になりそう。
 
「"Sr.": ロバート・ダウニー・シニアの生涯」
Netflixで配信中
監督:クリス・スミス
出演:ロバート・ダウニー、ロバート・ダウニー・Jr
 

Saeed Adyani/Netflix (C) 2022

アドリブで事件解決を強いられる犯罪コメディーのクリスマス特番「マーダーヴィル ~サンタを殺したのは誰だ?~」

「俺たちフィギュアスケーター」のライバルスケーターや「レゴバットマン」のバットマン役の声優など、クセの強さで知られるウィル・アーネットが主演する刑事ドラマに、クリスマスを見込んだ新作が登場! いや、正確には刑事ドラマというより、ゲスト出演者に台本を渡さず、強引にアドリブで演技をさせるバラエティー仕立て。過去にはシャロン・ストーンやコナン・オブライエンらがゲストを務めたが、今回はジェイソン・ベイトマンとマーヤ・ルドルフというコメディー界の達人2人が登場。日本でのスターバリューは低いかもしれないが、横綱相撲のようなアドリブ合戦が見られそう。さすがに殺人事件の被害者は「サンタの格好をした誰か」だと思うが、このとことんフザけた番組なら「本物のサンタ」でも不思議はない。
 
「マーダーヴィル 〜サンタを殺したのは誰だ?〜」
Netflixにて12月15日(木)から配信開始
監督:ローラ・マーフィ
出演:ウィル・アーネット、ジェイソン・べイトマン、マーヤ・ルドルフ
 
 
Wilson Webb/Netflix (C) 2022

Netflixと独占契約を結んだ名監督、ノア・バームバックの最新作「ホワイト・ノイズ」

 ネットフリックスは気鋭の映画作家とのコラボに積極的に取り組んできたが、最も成功したマッチングは「マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)」「マリッジ・ストーリー」のノア・バームバック監督ではないだろうか。昨年独占契約ともいえるパートナーシップを締結した両者の最新作は、これまで内省的なヒューマンコメディーを作り続けてきたバームバックにとって新機軸に思えるディザスターもの。とはいえオーソドックスなジャンル映画に仕上げるとは到底思えず、原作小説のパラノイア的な切り口をから新たな可能性に斬り込んでくれるはず。主演はすっかり常連となったアダム・ドライバーと、バームバックとは私生活のパートナーで、最近は映画監督としても大活躍のグレタ・ガーウィグ。
 
「ホワイト・ノイズ」
Netflixにて12月30日(金)より配信開始
監督:ノア・バームバック
出演:アダム・ドライバー、グレタ・ガーウィグ、ドン・チードル、ラフィー・キャシディ、ジョディ・ターナー=スミス

ライター
村山章

村山章

むらやま・あきら 1971年生まれ。映像編集を経てフリーライターとなり、雑誌、WEB、新聞等で映画関連の記事を寄稿。近年はラジオやテレビの出演、海外のインディペンデント映画の配給業務など多岐にわたって活動中。

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