ひとしねま

2023.1.27

データで読解:実写や洋画の興隆を期待

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

日本アニメ映画がトップ3を占めた。大人気漫画原作の「THE FIRST SLAM DUNK」が公開から8週連続1位となり、興行収入100億円突破の期待が高まる。2位の新海誠監督「すずめの戸締まり」は累計興収が128億円に達し、前作「天気の子」の141億9000万円に迫る。日本アニメとして「千と千尋の神隠し」以来のベルリン国際映画祭コンペティション部門に選出され、後押しとなりそうだ。続いたのは、公開から25週目に入るも前週9位から再び3位となった「ONEPIECE FILM RED」。29日の終映とイベント開催が発表され、200億円突破に注目が集まる。

日本アニメは全体でも、2022年の興収合計がコロナ禍前3年間(17~19年)平均の2倍近い水準となり、日本アニメがけん引する形で年間の総興収も2000億円超えが確実視されている。

ただ、力強い復興の継続と市場拡大には実写映画、洋画アニメの盛り上がりも必要だ。邦画実写はコロナ禍前の8割程度、洋画実写・洋画アニメはそれぞれ7割、4割程度とみられる。また、興収100億円級の作品に動員が集中する二極化が起こり、個別の嗜好(しこう)に訴求する中小規模作品のヒットも増える必要がある。23年は幅広いジャンルの盛り上がりも期待したい。(GEM Partners代表・梅津文)=毎月最終金曜掲載