CHAIN/チェイン (C)北白川派

CHAIN/チェイン (C)北白川派

2021.12.02

時代の目:CHAIN/チェイン 京都 連鎖する幕末と現代

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)。

京都芸術大映画学科の学生とプロが共同で劇場公開作を製作するプロジェクト「北白川派」。幕末の京都が舞台の時代劇だが、現代の風景も取り入れた野心作だ。

天皇中心の尊王攘夷(じょうい)派、薩摩藩や長州藩ら幕府を倒し新たな政府を作ろうとする倒幕派、会津藩など従来の幕府中心とする勢力の覇権争いが活発化。幕府によって組織された新選組と新選組から離脱し倒幕派となった伊東甲子太郎(高岡蒼佑)率いる御陵衛士(ごりょうえじ)の武士や庶民の葛藤、武力衝突した「油小路の変」を映し出す。

公開中の「燃えよ剣」に続き新選組が題材。時代の転換期に直面した人の生きざまと選択は、現代人の心もわしづかみにする。それぞれの正義への確執とほとばしる情熱は映画の格好の素材だ。ただ、登場人物があまりに多く、人間関係に詳しくなければ受け入れるのに時間がかかる。当時と現代の街や人を同居させる映像は目を見張るし、先人の軌跡を今の視点に照射させる効果はあるが、どうせなら破綻を恐れずもっと大胆に挿入して連鎖(チェイン)させてもよかった。中途半端な表現では逆に意図の混乱を招くだけだ。福岡芳穂監督。1時間53分。東京・テアトル新宿で上映中、大阪・テアトル梅田で10日から。(鈴)

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