「プリズナー・オブ・ゴースト・ランド 」

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2021.10.07

「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

銀行強盗に失敗して投獄されたヒーロー(ニコラス・ケイジ)は、町の権力者、ガバナー(ビル・モーズリー)の元から逃げ出したバーニス(ソフィア・ブテラ)を連れ戻すことを条件に、自由を手に入れる。5日以内に彼女を連れ戻さなければ爆発するボディースーツを着せられ、ミッションに挑む。

「冷たい熱帯魚」などセンセーショナルな作品を放ってきた園子温監督のハリウッドデビュー作。日本で撮影され、異邦人から見た「不思議の国ニッポン」という雰囲気のセットで、アクションを繰り広げる。近年はユニークな作品に出演するケイジは、ふんどし一丁になり、ママチャリも乗りこなし、熱演は一見の価値あり。しかし砂ぼこり舞う西部劇風のゴーストランドや遊郭の色彩、止まった時計やマネキンがちりばめられた映像は、既視感のあるイメージのコラージュに終始。英雄的な悪党が庶民のために立ち上がる物語は定番だからこそ、もうひとひねりほしかった。1時間45分。東京・TOHOシネマズ日比谷、大阪・TOHOシネマズ梅田ほか。(細)

異論あり

外国人が好きそうな日本っぽいもの、園子温を好きな人が求めていそうな園子温っぽいもの……。いろんな〝っぽいもの〟を集めただけのようなむなしさを感じた。大物にこんなことさせるなんてすごいでしょ?と面白がられているだけに見えるニコラス・ケイジの姿に切なくなった。(久)

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