第73回ベルリン国際映画祭「#マンホール」記者会見 中島裕翔=勝田友巳撮影

第73回ベルリン国際映画祭「#マンホール」記者会見 中島裕翔=勝田友巳撮影

2023.2.21

中島裕翔 英語で「華やかな映画祭参加、夢のような経験」:第73回ベルリン国際映画祭「#マンホール」上映記

第73回 ベルリン国際映画祭をひとシネマ編集長勝田友巳が現地からお伝え!

勝田友巳

勝田友巳

第73回ベルリン国際映画祭に、熊切和嘉監督、中島裕翔主演の「#マンホール」(公開中)が出品されている。話題性のある作品を集めた「ベルリナーレ・スペシャル」部門で、熊切監督と中島裕翔がベルリン入り。公式上映のあった20日、記者会見やレッドカーペット、そして上映の質疑応答と慌ただしく駆け抜けた。
 

自分がレッドカーペットを歩くとは 熊切監督

映画祭のスケジュールは、公式上映前日にプレス向けの試写、当日の上映前に記者会見を開き、夜の上映に臨むという流れ。記者会見は20日夕に開かれた。熊切監督と中島が並んで登壇。中島は流ちょうな英語を交えながらの受け答えだった。

 
熊切監督は中島について「役にぴったりだしスター性もあって、彼なしではできない企画」と称賛。熊切監督はデビュー作「鬼畜大宴会」が1998年のベルリン国際映画祭で上映されて以来のカムバック。「前回は海外に出るのも初めてで、思い出深い映画祭。また呼んでいただけてうれしい。前回はレッドカーペットを歩くタランティーノ監督に自分の映画のチラシを渡そうとして受け取ってもらえなかった。そこを自分が歩くとは感慨深い」と喜んだ。
 
中島は映画祭への参加について「夢のよう。世界中から監督や俳優が集まる豪華な場所に来るとは思ってもみなかった。この作品に連れてきてもらった」と感激した様子。映画については「撮影は1カ月ほど、狭くて暗いセットは強烈だった。汚い泡に囲まれるような体験は初めてで、精神的にも肉体的にもきつかったが、こういう役に挑戦したいと思っていたので楽しかった」と振り返った。

©2023 Gaga CorporationJ Storm Inc.

英語を学ぶのも海外へのあこがれから 中島裕翔

映画は、中島が演じたエリートサラリーマンの川村が結婚式前夜にマンホールに落ち、懸命に脱出を図るうちに本性と秘密が明らかになるという物語。「川村の姿には人間の本性が表れている。自分自身もしょうもなさや恥ずかしい部分を出しているキャラクターを見るのが好き。しかし、すべてをさらけ出して演じるのは難しかった」と話した。
 
海外進出について「英語を勉強し始めたのも、海外へのあこがれがあったから。意欲的にチャレンジしたい」と抱負を語った。
 

公式上映は満員、大受け

公式上映は20日午後10時から。メイン会場から少し離れたインターナツィオナル劇場。遅い時間のようだが、ベルリンに限らず欧州の映画祭では、この時間帯はその日の主役級のもてなし。ちょっと気合の入ったおしゃれをした大人たちも集まる、特別な場なのだ。
 
記者会見場には欧州の記者の姿は少なかったが、上映では映画を楽しもうという観客で、600席ほどの会場は満席。ベルリン在住の日本人や中国人、日本から来たというファンもいて、中島人気はドイツにも広がっている。上映中は随所で笑ったり驚いて息をのんだりと、反応は上々だった。
 

Hey!Say!JUMPの進化につなげたい

上映後には質疑応答もあり、中島ファンが興奮した面持ちでマイクを握った。撮影について聞かれた中島は、「マンホールのセットの中で泡や雨にまみれ、ケガもしている設定だったので、肉体的な準備は必要なく、その現実を感じていた」と振り返った。「人生で気をつけたいこと」と聞かれ「マンホールに落ちないように、そして人生にある落とし穴にも気をつけたい」と答えて会場の笑いを誘っていた。
 
上映が終わったのは日付も変わった午前1時過ぎ。熊切監督は「思った以上の反応だった」と満足げ。中島も「笑い声と拍手がうれしかった。最高です。一俳優として(同映画祭に)参加できたことに意味があるし、世界レベルを持ち帰って、Hey!Say!JUMPとしても進化につなげていきたい」と笑顔で話した。

 
出発前には「映画祭を楽しみたい」と期待していた中島だが、1泊しただけで日本に帰る強行軍。それでも「初めてレッドカーペットを歩いたし、大変な日程も思い出になるのかな。楽しかった」と笑顔が絶えなかった。
 

ライター
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。

カメラマン
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。