偽りの隣人 ある諜報員の告白 © 2020 LittleBig Pictures All Rights Reserved.

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2021.9.16

偽りの隣人 ある諜報員の告白

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

1985年、軍事政権下の韓国。次期大統領選に出馬するために帰国したが、国家安全政策部に逮捕、自宅軟禁されることになった野党の政治家、イ・ウィシク(オ・ダルス)。情報機関は彼を監視する任務のリーダーに、愛国心の強いユ・デグォン(チョン・ウ)を抜てきする。盗聴器を仕掛けて隣家からの監視を始めるが、聞こえてくるのは家族と国民の幸せを心から願う、ウィシクの声だった。

キム・デジュン元大統領を思わせる人物を名優、ダルスが親近感たっぷりに演じた社会派ヒューマンドラマ。監視チームのメンバーもちょっと抜けていて、重いタッチの政治サスペンスにもなりえる題材ながら、笑える場面のある作品に仕上がった。ヒット曲「クルクル」の使い方や、水虫をめぐるエピソードも実に巧み。「善き人のためのソナタ」と共通点もある題材を、人と人とのつながりを信じる目線で描き出したところに、「7番房の奇跡」で涙を絞りとったイ・ファンギョン監督らしさを感じる。2時間10分。東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋。(細)

ここに注目

前半のコメディー要素たっぷりの盗聴劇から、政治サスペンスに向かうコペルニクス的転回を、一粒で二度おいしいと考えるか、盛りすぎと見るかは好みが分かれそう。ただ、自国の負の歴史をエンターテインメントとして見せきる韓国映画の懐の深さを改めて実感したのは確かだ。(鈴)

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