映画「スパゲティコード・ラブ」の一場面 ©『スパゲティコード・ラブ』製作委員会

映画「スパゲティコード・ラブ」の一場面 ©『スパゲティコード・ラブ』製作委員会

2021.11.25

スパゲティコード・ラブ

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)。

現代の東京を舞台にした青春群像劇。アイドルに思い焦がれるフードデリバリーの配達員(倉悠貴)、歌うことをやめたシンガー志望の女性(三浦透子)など、それぞれの不安や孤独感を抱えた男女13人の生き方を描く。

音楽ビデオやCMのクリエーターとして活躍する丸山健志監督の長編デビュー作。流動的なカメラワークを駆使したあらゆるショットが洗練され、いくつものエピソードがテンポよく語られる。SNSでつながる人間関係の希薄さ、理想と現実のギャップの残酷さにもがく登場人物の姿は、一定の観客の共感を誘うだろう。しかし心情説明の独白を多用した手法はあまりに安易だし、ストーリー展開も意外性に乏しい。結果的に「悩める等身大の若者たち」を並べたおしゃれなショーケースのようになってしまった。もっとも最後には都合のいい「奇跡」が用意されているので、作り手の狙いは今風のおとぎ話で観客を心地よくさせることだったのかもしれない。1時間36分。東京・新宿シネマカリテ、大阪・イオンシネマシアタス心斎橋ほか。(諭)

異論あり

数十年前の青春映画のテーマを風景のみ現代に置き換えただけで、時代性がほとんど感じられないエピソードばかりだ。個々の抱える悩みや不安のなんと古めかしいことか。モノローグの多さも鬱屈した内なる心の叫びを通り越して、共感を強いているように聞こえてしまった。(鈴)