「スイッチ 人生最高の贈り物」© 2023 LOTTE ENTERTAINMENT & HIVE MEDIA CORP. All Rights Reserved.

「スイッチ 人生最高の贈り物」© 2023 LOTTE ENTERTAINMENT & HIVE MEDIA CORP. All Rights Reserved.

2023.12.01

開かれる「安心して迷っていく道」 「スイッチ 人生最高の贈り物」:英月の極楽シネマ

「仏教の次に映画が大好き」という、京都・大行寺(だいぎょうじ)住職の英月(えいげつ)さんが、僧侶の視点から新作映画を紹介。悩みを抱えた人間たちへの、お釈迦(しゃか)様のメッセージを読み解きます。

華やかなシングルライフを満喫しているトップスター俳優パク・ガン(クォン・サンウ)と、かつての演劇仲間で今は彼のマネジャーを務めるチョ・ユン(オ・ジョンセ)の人生が、ひょんなことから入れ替わる物語です。

10年以上前に起こった、ある出来事での選択と決断によって、その後の人生が大きく変わった2人。その人生が〝スイッチ〟したことで立場が変わり、パクは大スターとしてテングになっていた時には、気にもしなかったようなことに気付かされます。例えば、台本を読まず、セリフは手に書き、覚えようとさえしていなかったのに、端役であっても熱心に演技をするようになるなど。それは彼が悔い改めたのではなく、そういう縁、つまり状況になったということです。

では、どのように状況が変わったのかといえば、スイッチ前は地位も名誉もお金も手に入れた大物俳優で、スイッチ後は妻に養ってもらっている子持ちの無名俳優。もしこれが「前と後どっちがいい?」という話であれば、金と名誉か、それとも家族か?といった、どちらが今の自分にとって必要か、という話で終わってしまいます。

この映画が面白いのは、ちょっと変わったタクシーに乗ったことがスイッチのきっかけになったこと。ここでポイントとなるのが運転手です。運転手とは、「道を知っている人」の象徴とも受け取れます。人生に迷いはつきもの。けれども、自分に先んじて人生の迷いを超えた先輩はいるのです。そう知ることで、人生に迷わなくなるわけではないけれど、安心して迷っていくという道が開かれるのではないでしょうか。

東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋ほかで公開中。

新着記事