第76回カンヌ国際映画祭で「首」が上映され、拍手に応える(右から)北野武監督、西島秀俊、中村獅童=2023年5月23日、勝田友巳撮影

第76回カンヌ国際映画祭で「首」が上映され、拍手に応える(右から)北野武監督、西島秀俊、中村獅童=2023年5月23日、勝田友巳撮影

2023.5.24

「世界のキタノ」に観客熱狂 「次はお笑い」北野監督 「首」公式上映

第76回カンヌ国際映画祭が、5月16日から27日まで開催されます。パルムドールを競うコンペティション部門には、日本から是枝裕和監督の「怪物」、ドイツのビム・ベンダース監督が日本で撮影し役所広司が主演した「パーフェクトデイズ」が出品され、賞の行方がきになるところ。北野武監督の「首」も「カンヌ・プレミア」部門で上映されるなど、日本関連の作品が注目を集めそう。ひとシネマでは、映画界最大のお祭りを、編集長の勝田友巳が現地からリポートします。

勝田友巳

勝田友巳

第76回カンヌ国際映画祭で23日、北野武監督の「首」が公式上映された。北野監督はフランスでいくつも勲章を授与されるなど、欧州での人気は高い。上映会場に俳優陣と共に姿を見せると、大きな拍手に包まれた。

笑い随所に 「次はもっといい映画で来ます」

「首」は、本能寺の変は羽柴秀吉の策略を巡らせて、明智光秀に織田信長を討たせたという北野監督の解釈に基づいている。荒々しい暴力描写の一方で武将間の同性愛的愛憎が絡み、時に北野監督らしいギャグも挿入される。
 
上映中は随所に笑いがおき、映画が終わると観客は総立ちとなって拍手を送った。北野監督は感激の面持ちで拍手に応え、目を潤ませていた。最後にマイクを渡されて「次はもっといい映画で来ますんで」と言って会場の笑いを誘った。
 

第76回カンヌ国際映画祭で「首」の上映後、会見する(右から)浅野忠信、中村獅童、西島秀俊、北野武監督、加瀬亮、大森南朋=2023年5月23日、勝田友巳撮影

西島秀俊「胸がいっぱい」

上映後には俳優陣と共に取材に応じた。北野監督は「久々に大画面で見たら、まあまあかな。役者によくぞやっていただいた。ありがとうございました」と感謝の一言。観客の笑いに「次はお笑いやんなきゃと思って。これほど楽な客ならありがたい」。
 
西島秀俊は「観客が集中して、笑いながら見てくれた。胸がいっぱい、感動しました」。加瀬亮は「始まる前から高い熱気で迎えられるのは素晴らしい。楽しんでいただけたと実感した」。中村獅童は「思った以上に笑いが大きく、驚くと同時にうれしかった」。大森南朋は「アドリブの場面が受けなかったらと心配したが、ホッとした」。浅野忠信は「観客と笑いながら見て、家族と一緒に見ているような気分になった」。口々に感激を語っていた。
 
「首」は話題作を集めた「カンヌ・プレミア」部門で上映された。日本では秋に公開予定。

ライター
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。