©2005 「NANA」製作委員会

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2022.11.17

時代を超えて愛され続ける、「NANA」のY2Kファッションと強くこびない女性像

Y2K=2000年代のファッションやカルチャーが、Z世代の注目を集めています。映画もたくさんありました。懐かしくて新しい、あの時代のあの映画、語ってもらいます。

青山波月

青山波月

最近Z世代の中で大流行中の単語をご存じだろうか。
 
「Y2K」。Year 2000の略で、2000年代のファッションやカルチャーを指す言葉。これが今、2000年生まれのZ世代で大流行中だ。私自身も2001年生まれであるため、生粋のZ世代。Y2Kファッションを新鮮に感じているが、2000年代に青春を過ごした方たちにとっては、街中で懐かしのファッションアイテムを身につけた若者を目にする感覚ではないだろうか。
 
今回ご紹介するのは、Y2K全盛期に話題となった映画「NANA」。矢沢あい先生の伝説的な漫画「NANA」を原作として、実写化された。「NANA」は他にもゲームやアニメなどになり、2000年代の日本に数々のブームを巻き起こした作品のひとつだ。音楽で成功することを夢見て上京してきたボーカリスト・大崎ナナと、彼氏の後を追って上京してきた少女・小松奈々、2人の〝NANA〟が主人公。彼女たちは名前も年齢も同じだが、人間性は正反対。東京へ向かう新幹線の中で出会い、ひょんなことから一緒に暮らし始める。そんな2人の夢や人間関係を描いた、少し大人で刺激的な作品だ。
 

今まさにリバイバル中! 刺激的な〝NANAファッション〟

 私が小学生のころ、整骨院の漫画棚に並んだ「NANA」を読破した記憶がある。もはや「NANA」を読むために整骨院に行っていたようなもの(小学生で果たしてこの内容を理解していたのかは置いといて)。自立していて、強くてかっこよく、ときにはかなさがチラつく大崎ナナの姿に憧れていた女性は多いことだろう。特にパンクなファッションセンスは現代でもまねされることが多く、時折「NANA再現コーデ」などをTikTokで見かけることもある。
 
昨今のK-popカルチャーでは、Y2Kを取り入れた衣装が流行しているが、まさに世をにぎわすY2Kファッションの先駆けとなったのはナナのファッションだと私は思っている。今や防寒具の域を超えファッションアイテムとして身につけられるようになったアームウォーマーや、超ミニ丈なのにローライズだから面積が揚げ豆腐くらいしかないスカートなど、現代ではやっているアイテムが2005年の映画に存分に使用されていた。
 
また、ナナ独自の世界観を持つファッションアイテムも魅力的。特に私が気に入ったのは、ナナが、奈々と新幹線で初めて出会ったとき身につけていたヴィヴィアンのロングリングだ。中指の第2関節から指の根元までを覆っている長い指輪は、ナナがたばこをくわえる度に存在感を発揮する。奈々がナナに対して、「かっこいい」「憧れ」という感情を抱き始めたのも、その指輪とたばこが第一印象に残ったからではないだろうか(新幹線の中で当たり前にたばこをくゆらすナナの姿に時代の違いをしみじみと感じたり)。
 

20年後を先取り!? 〝自立した女性〟を描いた「NANA」

 Y2Kの流行と独自のファッションセンスの融合で、女性の憧憬(しょうけい)の的となったナナ。しかし、ナナが女性からの支持を得ている要因はファッションの面だけではないと感じる。その「自立した女性像」が、もう一人の奈々と対比されることで際立って見えるのだ。奈々は彼氏のため上京し、彼氏に時間を費やすことで幸せを感じるような子。彼氏の章司もまた、家事は女がやって当然という考え方が言葉の節々に感じられるような男だ。一方ナナは、家でおとなしく男の帰りを待つ生き方よりも、夢を追いかけて自分の人生を生きることを選んだ。過去の男や浮気するような男に振り回されない、依存しないスタンスが、奈々や作品ファンの女性たちを「かっこいい」と思わせたのだ。
「NANA」の原作が生まれたのは1999年。今でこそ「自立した女性」がたくさんいるものの、当時は、働きに出て行く男と家で待つ女、という図式が一般的だったに違いない。まるで20年後の世界を先に生きているようなNANAの姿は、ファッションだけではなく、生き方までも先取りしているのだ。
 
映画「NANA」の1作目が公開されたのは2005年のこと。2022年が終わろうとしている今に見ても、最先端でかっこいいと感じるNANAのファッションと生き方に感銘を受けること間違いなし。「NANA」を見たことのないZ世代はもちろん、「NANA」と一緒の時代を過ごし、ナナに焦がれた経験のあるそこのあなたも、もう一度その世界を楽しんでみてはいかがだろうか。
※「NANA」U-NEXTで配信中

ライター
青山波月

青山波月

あおやま・ なつ 2001年9月4日埼玉県生まれ。立教大学現代心理学部映像身体学科卒業。埼玉県立芸術総合高等学校舞台芸術科を卒業後、大学で映画・演劇・舞踊などを通して心理に及ぼす芸術表現について学んだ。現在は英国在住。
高校3年〜大学1年の間、フジテレビ「ワイドナショー」に10代代表のコメンテーター「ワイドナティーン」として出演。21年より22年までガールズユニット「Merci Merci」として活動。好きな映画作品は「溺れるナイフ」(山戸結希監督)「春の雪』(行定勲監督)「トワイライト~初恋~」(キャサリン・ハードウィック監督)。特技は、韓国語、日本舞踊、17年間続けているクラシックバレエ。趣味はゾンビ映画観賞、韓国ドラマ観賞。

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