「バック・イン・アクション」より

「バック・イン・アクション」より© 2024 Netflix, Inc.

2025.1.27

アクション映画ファンにおすすめ! キャメロン・ディアス復帰作「バック・イン・アクション」と派手な展開のフレンチアクション「アドヴィタム」

いつでもどこでも映画が見られる動画配信サービス。便利だけれど、あまりにも作品数が多すぎて、どれを見たらいいか迷うばかり。目利きの映画ライターが、実り豊かな森の中からお薦めの作品を選びます。案内人は、須永貴子、大野友嘉子、梅山富美子の3人に加え、各ジャンルの精鋭たちが不定期で寄稿します。

筆者:

ひとしねま

屋代尚則

アクション作品に飢えているところだった。筆者はずっと前から「ミッション:インポッシブル」シリーズや「007」シリーズの大ファン。前者は今年5月の劇場公開が予告されているが、待ちきれない……と思っていたら、新年早々、欧米発のアクション映画の新作配信が続々スタートした。

その2作は本稿の執筆時点で、Netflix「今日の映画TOP10」(日本)の1、2位にランクイン。きっと私と同じく、日本の視聴者もアクション作品を渇望していたに違いない(!?)。さっそくアメリカ発の「バック・イン・アクション」と、フランス・ベルギー合作の「アドヴィタム」を、家で〝一気見〟した。その中身は果たして?


キャメロン・ディアスが〝無双〟する「バック・イン・アクション」

まずは米国「バック・イン・アクション」。名優、キャメロン・ディアスの約10年ぶりの俳優復帰作として、1月13日から19日までの視聴回数が4680万回を超える、話題沸騰中の作品だ。現在40代の筆者にとっては、かつての映画での名演はもちろん、英会話学校の「イーオンで始めなキャメロン」のテレビCMが印象深い。

今作のあらすじは。さかのぼること15年前、CIA(米中央情報局)諜報(ちょうほう)員のマット(ジェイミー・フォックス)とエミリー(キャメロン・ディアス)は、男女の仲になり、エミリーは妊娠する。2人は任務のため乗った飛行機で敵と遭遇。派手な墜落事故から一命をとりとめ、こんな仕事はもうこりごり、子供たちのために穏やかに生きようと、過去を隠して(パスポートなどの書面を偽造して)、長女、長男と一軒家で静かに暮らしていた。

引退から15年後。家が突然、敵の銃撃に遭う。過去の任務を巡る因縁があるようなのだが、マットとエミリーは襲い来る敵の一団を撃退する。2人とも、その銃さばきも格闘中の身のこなしも「かたぎ」の人ではないが、子供たちはあぜんとしつつ、親たちの真実に気付かぬまま。

一家は車で逃げる途中、ガソリンスタンドでも刺客に襲われるが、マットは給油のノズルを即席の火炎放射器にして、まとめて敵を倒す。両親は車中で、仕方なく子供たちに正体を明かす。家族の危機はまだまだ続くが、運命は……。

序盤から終盤まで、アクションシーンは盛りだくさん。時に家族どうしのいさかいがコメディーチックに展開し、ほのぼのとしていたら、また決死の場面に逆戻り……という繰り返しの1時間54分だ。終始、キャメロン・ディアス演じるエミリーが桁外れの「無双」ぶりを見せるが、CIA諜報員の経験があれば、強いのに理由なんていらないのだ、と自分を納得させた。

また、一家はアメリカを飛行機で離れ、途中から舞台はイギリスのロンドンに。ロンドンの美術館「テート・モダン」やテムズ川も映し出されるほか、イギリスの諜報機関「MI6」も登場する(「MI6」と言えば「007」シリーズ!)。世界をまたにかけて暴れ回り、住宅街や観光地をハチャメチャに荒らしていくスゴ腕の諜報員が、映画の世界にまた現れたと、何だかうれしくなった。


© 2024 Netflix, Inc.

終盤は「ミッション:インポッシブル」級の派手な展開を見せる「アドヴィタム」

続いて「アドヴィタム」(作中で「アドヴィタム」は「命ある限り」と訳されている)。こちらは「バック・イン・アクション」とうってかわって、終始シリアスな展開である。主人公のフランク(ギョーム・カネ)は、かつてフランスの国家憲兵隊治安介入部隊「GIGN」の隊員だった。

今は組織を離れ、妊娠中の妻と暮らしていたが、ある日に自宅で突如襲撃され、それぞれがとらわれの身になる。舞台は過去にさかのぼり、フランクは母国の機密につながる、ある「証拠」を隠し持っていることが明らかになる。フランクたちが襲われたのは、それが理由らしいが……。フランクと妻、おなかに宿る子の命は、果たしてどうなるのか。

作品は1時間38分で、前半は比較的穏やかな、時として悲劇的な展開に。お待ちかね(?)のアクションシーンは、後半に凝縮されている。終盤ではフランクによる、「ミッション:インポッシブル」のイーサン・ハント(トム・クルーズ)級の派手な行動も。フランクと敵の攻防戦で、パリの街は荒れに荒れるのだが、こちらは被害が国内で収まるのが「バック・イン・アクション」との違いといえば違いだ。


「続編」の構想あり、を確信した「バック・イン・アクション」

当然だが、同じ「アクション映画」でも、その展開はさまざまである。作品の傾向を言い表すならば「バック・イン・アクション」は「ハラハラ、時にクスッと笑える」作品。「アドヴィタム」は「しみじみ(終盤はハラハラ)」といった感じだろうか。2作には共通点も多い。それぞれ、パートナーや子供を思う家族の絆が、物語の核になっている。

さらに、主人公たちが秘密の「○○」を隠し持っていて、それが原因で敵に目を付けられるという点も一緒。どちらの(どちらも?)作品が気になるか、好みに合わせて視聴してみてほしい。

最後に「バック・イン・アクション」の話を。ネタバレになるので詳しくは避けるが、物語の終盤に、誰がどう見ても「続編の構想がある」と確信の持てるシーンが登場する。だとしたらジェイミーとキャメロンが演じる夫婦は次に、どこの国で暴れ回るのか。まさか日本……? 次なる「任務」の遂行が待ち遠しい、私の家の近所でなければ。

「アドヴィタム」「バック・イン・アクション」はNetflixで独占配信中。

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