「ガンニバル」の一場面  © 2023 Disney

「ガンニバル」の一場面 © 2023 Disney

2023.1.10

柳楽優弥やヒラリー・スワンク主演作から、ミレニアル世代のラブコメディーまで 1月配信オススメ作品5選:オンラインの森

いつでもどこでも映画が見られる動画配信サービス。便利だけれど、あまりにも作品数が多すぎて、どれを見たらいいか迷うばかり。目利きの映画ライターが、実り豊かな森の中からお薦めの作品を選びます。案内人は、須永貴子、大野友嘉子、梅山富美子の3人に加え、各ジャンルの精鋭たちが不定期で寄稿します。

ひとしねま

須永貴子

「オンラインの森」筆者が持ち回りで、最新配信作品からオススメ作品をピックアップ。毎月10日に更新し、注目ポイントを解説します。ネクストブレークは、きっとここから!
 

© 2023 Disney

柳楽優弥主演のビレッジ・スリラー「ガンニバル」

ファミリー向けの安心安全なイメージのあったディズニープラスが、2022年12月に三池崇史監督の「コネクト」と本作を立て続けに放ったことは大きなサプライズだった。本作の監督は、同年に劇場公開された「さがす」で、ミステリー、サスペンス、スリラー、ヒューマンを絶妙な配合で混ぜ合わせたストーリーテラーの片山三。岡山県の山間にある“人喰(く)い村”とうわさされる供花村を舞台に、新任駐在・阿川大悟(柳楽優弥)が前任者が失踪した謎を追するにつれ、狂気の淵に追い詰められる。ジ・スリラーは不穏なムードや伏線を積み重ね、視聴者の想像力や解釈に寄りかかりすぎる作品が少なくないが、本作では明らかな事件が続発し、アクションシーンもあり、警察本部の鑑識も機能する。そこに、村を支配する後藤家の人たちが恐れる「あの人」の邪悪な気配と、柳楽がのぞかせる大悟の暴力性がどう絡むのか? 続きを見ない理由が見当たらない。
 
12月28日(水)よりディズニープラス「スター」にて独占配信中
 
「ガンニバル」
監督:片山
出演:柳楽優弥、笠松将、吉岡里帆

 

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ヒラリー・スワンクが再起を図る調査報道記者を演じる「アラスカ・デイリー」

2022年10月に米ABCで放送された全10話のテレビシリーズ。ニューヨークで活躍していた優秀な調査報道記者のアイリーン・フィッツジェラルドは、不名誉な出来事により職を失い、アラスカ州アンカレジの新聞社で再起を図る。地元出身の女性記者とペアを組み、アラスカ先住民族の女性の行方不明事件を調査し始めたアイリーンは、他にも多くの先住民族の女性たちが犯罪被害に遭っていることを知る。ローカル紙の記者たちが、スター記者のアイリーンと関わることで、自身の職業倫理に向き合う姿も丁寧に描かれる。「扉をたたく人」「スポットライト 世紀のスクープ」「スティルウォーター」を監督したトム・マッカーシーが“Created by”でクレジットされ、アイリーン役のヒラリー・スワンクが第80回ゴールデン・グローブ賞(現地時間1/10発表)のテレビドラマ部門で主演女優賞にノミネートされた社会派ドラマとなれば、信頼して間違いないだろう。
 
1月4日(水)よりディズニープラス「スター」にて独占配信中
 
「アラスカ・デイリー」
監督:トム・マッカーシー 他
出演:ヒラリー・スワンク、ジェフ・ペリー
 


©SBS

韓国ノワール好きは必見の「ペイバック~金と権力~」

あまりにもPrime Videoから公式の情報が出ていないなと思ったら、韓国のテレビ局SBSで1月6日(金)22時にスタートする連続ドラマ「法銭」が、Prime Videoで同日の23時30分に追っかけ配信するということだった。SBSの公式サイトには、「のカルテルに対抗して戦う金商人ウンヨンと法律技術者ンギョンの痛快な復讐(ふくしゅう)劇」とある。地下経済の大物・ミョン会長にはめられた投資家のウンヨン(イ・ソンギュン)が、元検事で現在は法務官のジンギョン(ムン・チェウォン)を利用して、復讐を企てるようだ。オーケストラが演奏する重厚な音楽が流れる中、工事現場集団が鉄パイプで殴り込む大迫力の乱闘や、ウンヨンがモンゴルの大平原を馬で疾走するショットなど、ティザー映像のスケールの大きさに圧倒された。また、「復讐?」と聞かれたウンヨンが、「借りを返さなければ(pay back)いけない。損得関係なしに」とタイトルに関するセリフを放つカットも決まった。韓国ノワール好きとしては見逃せない。
 
1月6日(金)よりAmazon Prime Videoにて独占配信中
 
「ペイバック〜金と権力〜」
監督:イ・ウォンテ
出演:イ・ソンギュン ムン・チェウォン

 
 
Bob Mahoney/Netflix (C)2022

行方不明になった愛犬を捜す父子の物語「きっと見つける」

1998年に起きた実話の映画化。愛犬ゴンカーがアパラチア山脈で行方不明になってしまい、飼い主の青年とその父親がゴンカーをす旅に出る。ポイントは、2週間以内に持病の薬を投与しないとゴンカーの命に危険が迫るというタイムリミットが設定されているところだが、これは脚色ではなく事実らしい。また、旅の途中で出会うこわもてのバイカー軍団やニューエジのヒッピーたちや、ゴンカーは必ず見つかるという父親の強い信念が、大人になろうとしている息子になんらかの影響を与えるビルドゥングスロマンにもなっている予感。ティザー映像を見たところ、アパラチア山脈の雄大な自然や、愛嬌(あいきょう)のあるゴンカーに、父親を演じる往年の青春スター、ロブ・ロウの麗しさが負けていない。「不在の犬をす人間サイドのストーリー」なので、犬への負荷が少なそうなところも、安心してられそうだ。

1月13日(金)よりNetflixで独占配信開始

「きっと見つける」
監督:スティーブン・ヘレク
出演:ロブ・ロウ、キンバリー・ウィリアムズ=ペイズリー、ジョニー・バーチトールド


異人種カップルの結婚が騒動を巻き起こすコメディー「ユー・ピープル ~僕らはこんなに違うけど~」

主演のジョナ・ヒル(「マネーボール」「ウルフ・オブ・ウォールストリート)が、監督のケニヤ・バリス(「ブラッキッシュ」製作)と共同で脚本を手掛けたコメディ。ロサンゼルスに暮らす黒人と白人のカップルが結婚するにあたり、文化や社会的背景、所属するコミュニティ、世代などが異なる双方の家族の衝突を通して、現代的な愛と家族の形を探る。公開中のティザー映像では、ジョナ・ヒル演じるエズラが、恋人アミラの両親(父親がエディ・マーフィ)とカフェで対面するシーンを見ることができる。このシーンに限っては、いつもは周りを振り回す役柄を演じるエディ・マーフィが、「それを今言う?」という発言を連発するエズラにあきれっぱなし、という構図が新鮮。マーフィのネクストステージという意味でも期待が高まる。

1月27日(金)よりNetflixで独占配信
 
「ユー・ピープル 〜僕らはこんなに違うけど〜」
監督:ケニヤ・バリス
出演:ジョナ・ヒル、ローレン・ロンドン、エディ・マーフィ、ジュリア・ルイス=ドレイファス、ニア・ロング

ライター
ひとしねま

須永貴子

すなが・たかこ ライター。映画やドラマ、TVバラエティーをメインの領域に、インタビューや作品レビューを執筆。仕事以外で好きなものは、食、酒、旅、犬。

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