データで読解

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2021.2.25

データで読解:「どうしても見たい」熱気

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

菅田将暉、有村架純が主演する「花束みたいな恋をした」が4週連続で1位となった。公開以降、前週比で興行収入が増えるかほとんど落ちない、異例の興行展開となっている。先週末時点ですでに興収17億円を記録、最終興収30億円も視野に入る。

マーケティングデータを見ると、鑑賞意欲度は女性10、20代を中心に、男性10代も高め。特筆すべきは、意欲を持っている人の中で「これが一番見たい一本」というファーストチョイスの値の強さである。

たくさんの楽しみがある中で、劇場公開映画は時間を合わせ、わざわざ出かけて、お金を払って見るもの。お気に入りの俳優が出ている、原作が好き、メディアで話題になっているものを目撃したい、皆で楽しめるイベント性……。どんな理由であれ「いま、自分が見るべき一本」と納得している意欲度の高さが重要だ。ましてや緊急事態宣言が発令されており、午後8時以降は営業をしていない映画館も多い現状では、なおさらだ。

本作は公開後、意欲層のなかのファーストチョイス率が力強く上昇し、「どうしても見たい一本」という熱の高まりが見られる。緊急事態宣言の解除が議論され、春休みの時期にもなり、さらに力強い興行展開が期待される。(GEMPartners代表・梅津文)

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