MISS ミス・フランスになりたい! © 2020 ZAZI FILMS – CHAPKA FILMS – FRANCE 2 CINEMA – MARVELOUS PRODUCTIONS

MISS ミス・フランスになりたい! © 2020 ZAZI FILMS – CHAPKA FILMS – FRANCE 2 CINEMA – MARVELOUS PRODUCTIONS

2021.2.25

時代の目,MISS ミス・フランスになりたい!

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

タイトルにある「ミス・フランス」を目指すのは、男性として生まれたアレックス(アレクサンドル・ベテール)。両親を事故で亡くして以来心を閉ざして生きてきたが、ボクサーとして成功した旧友との出会いをきっかけに幼い頃の夢だったミスコンテストに挑む覚悟を決める。手を差し伸べてくれるのは、家主(イザベル・ナンティ)をはじめ下宿先の仲間たち。アレックスは男性であることを隠して厳しいコンテストに挑む。

ユニセックスモデル、俳優として活躍しているベテールが主演を務め、アレックスが次第に内側から輝きを放つようになる過程の痛みや喜びを繊細に表現。男らしさ、女らしさの呪縛から解き放たれて「何者かになりたい」という思いが、切実に伝わってくる。

ミスコンの内情を軽快にスケッチするシーンには、開催意義に対する問題提起も。見た目を題材にしながら、他人に自分の価値を決めさせることなく、自分が自分を愛することの大切さを訴える着地点がすがすがしい。アレックスの奮闘を通して外見至上主義や多様性など、時代の風を感じさせる1本になっている。ルーベン・アウベス監督。1時間47分。東京・シネスイッチ銀座、大阪・テアトル梅田(4月2日から)ほか。(細)

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