インタビューに答える森俊一郎さん

インタビューに答える森俊一郎さん

2022.5.27

クイーン&アダム・ランバートの英国ツアー始動!あらためて振り返る映画「ボヘミアン・ラプソディ」そして花火

公開映画情報を中心に、映画評、トピックスやキャンペーン、試写会情報などを紹介します。

及川静

及川静

「We Will Rock You」や「We Are The Champions」、そして映画のタイトルにもなった「ボヘミアン・ラプソディ」など多くの名曲を生み出したクイーンが、2023年にファーストアルバムの発売から50年を迎える。また、英国では27日(日本時間本日)よりクイーン&アダム・ランバートのツアーが行われる。
彼らは1991年にフレディ・マーキュリーの突然の死というバンド史上最大の不幸に見舞われるも、数々の名曲は色あせることなく、ドラマやCM、そして2018年の伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」の公開により、現在も脈々と受け継がれている。
 
今夏には「QUEEN THE GREATEST FIREWORKS 2022」と題して、彼らの名曲と共に1万4000発の花火が打ち上げられる花火の祭典が、5/28(土)に大阪・舞洲、8/5(金)に福岡・北九州(毎日新聞社など実行委員会)、9/3(土)に宮城・名取で開催される。その福岡のセットリストを選曲したのは、元東芝EMIクイーン担当の森俊一郎さん。85年の来日時にメンバーと行動を共にした森さんに、映画「ボヘミアン・ラプソディ」や当時の思い出、そして選曲への思いを語っていただいた。


 
――森さんは、いつの時代にクイーンを担当されていたのですか?
 
クイーンは1983年ごろに日本での配給権がワーナー・パイオニアから東芝EMIに移籍した際に、学生時代から来日公演を見ていた僕が担当させてもらうことになりました。その後、少しの期間、離れたこともありましたが、91年にフレディ・マーキュリーが亡くなった時も担当していました。
 
――訃報を聞いた時は、相当驚かれたのでは?
 
はい。フレディが体調を崩してツアーの間隔が延びたりしていましたが、1991年11月に英EMIがHIV感染を発表し、その翌日に亡くなってしまったので、ファンとしてはショックを受けつつ、レコード会社としてどうするかを考えていました。英EMIがフレディの死を受けて、「ボヘミアン・ラプソディ」を急きょシングルカットするというので、日本でもやろうと動いていました。

 
――映画「ボヘミアン・ラプソディ」は、どのようにご覧になりましたか? 劇中では85年に出演した「ライブ・エイド」の前に感染を知ったことになっていますが・・・・・・。
 
実は映画版は、事実とはちょっと違うところがあるんですよ。85年の「The Worksツアー」はフレディがいる最後の来日公演になりましたが、当時はまだ世界的にもHIVについて知られていなかったので、彼がHIVに感染していることがはっきりしたのは、その後だったと聞いています。しかし、映画としては、すごく良くできた作品だと思いました。最初に見た時は日本公演の順番が違ったり、ブレークした曲と違うものが流れたりするので違和感を覚えましたが、ドキュメンタリー映画ではなく、フレディを中心として描いたドラマなので、これはこれでいいのではないか?と思い直しました。フレディがHIVになってしまったことと、バンドの仲間たちとの葛藤ともう一度理解し合うことを描いた物語として、非常に良くできた作品ではないかと。結局、見直したいところがあったので、3回見ました。
 
――どんなところを見直したのですか?
 
ロジャー・テイラーとブライアン・メイ、そして、アダム・ランバートが出ているといううわさを確認したかったのです。そうして、何度も見ているうちに、最後のウェンブリー・スタジアムでのライブの再現度がすごいことに気付きました。実際のウェンブリーでのライブを思わせる規模感でしたし、ピアノの上の飲み物の乱雑な置き方もリアルだなと感じました。フレディ自身がディテールにこだわる人でしたから、メンバーとしてもそこはおろそかにできないという思いがあったのではないかと思いました。
 
――森さんは85年の来日時に、メンバーたちと行動を共にされたそうですね。
 
はい。フレディはソニーからソロアルバムを出したばかりだったのでそちらでの単独取材が多く、あまり話せなかったのですが、一度だけ握手をして言葉を交わすことができました。彼はとても柔らかい握手をする人でした。手が柔らかいという意味ではなく、ふわっと握る感じの握手をされたので、そこからもやさしさを感じました。
 
――ブライアン・メイとロジャー・テイラー、ジョン・ディーコンの3人は?
 
ブライアンは話し始めると止まらないのが唯一の欠点ですが、真面目ないい人で、ロジャーはまさにロックンローラー。言動など、全てが男から見てもかっこいい男性でした。ジョンはおとなしいですけど、すごくお酒を飲んでひっくり返ったりするので、よく見ていないといけなくて(笑)。彼らには仕事が終わると「ディスコに行くぞ」と引き摺り回されたので、もうお腹いっぱいな状態でした(苦笑)。

 
――ライブはいかがでしたか?
 
代々木競技場第一体育館でのライブだったと思いますが、本編で「We Will Rock You」をやっていないことをお客さんがわかっていたので、アンコール前に皆さんが手拍子と足踏みをしながら「We Will Rock You」と「We Are The Champions」を歌い始めたんです。あの瞬間は鳥肌が立ちました。その後、本人たちが出てきて、それらの曲をやってくれたのですから、あれはBEST SHOWの一つだったのではないかと思います。
 
――この夏、そんな彼らの楽曲と花火の祭典が行われますが、クイーンの曲は花火と相性が良さそうだなと思いました。
 
絶対に合うと思います。僕は福岡県・北九州の選曲を担当したのですが、ほかの方よりもハード・ロック色が強いかもしれないです。クイーンのハード・ロック寄りの曲はすごくかっこいいのでぜひ聞いてほしいですし、派手な曲の方が花火のあるシーンにすごく合うと思うので、ポイント的に入れました。そして、最後にフレディがもういなくなっていることを思い起こして感傷に浸ってほしいなと思ったので、そういった構成になっています。クイーンの曲と花火は天才的な組み合わせだと思いますので、僕も見るのが楽しみです。
 
――最後に、森さんから見て、クイーンとはどんなバンドだと思いますか?
 
時代と世代を超えるバンドだと思います。楽曲も絶対に古くならないですからね。スタジオで試行錯誤しながら作った曲は、古くならないんですよ。彼らの曲は、100年たっても残ると思います。

ボヘミアン・ラブソディ

英国のロックバンド・クイーンのボーカル・フレディー・マーキュリーを中心にした伝記映画。1970年バンド結成から、85年のチャリティーコンサート・ライブエイドのステージまでを描いた。音楽プロデューサーは現在、クイーン&アダム・ランバートで活躍し続けているブライアン・メイとロジャー・テイラー。

ライター
及川静

及川静

おいかわ・しずか 北海道生まれ、神奈川県育ち。
エンターテインメント系ライター
編集プロダクションを経て、1998年よりフリーの編集ライターに。雑誌「ザテレビジョン」(KADOKAWA)、「日経エンタテインメント!海外ドラマ スペシャル」(日経BP)などで執筆。WEBザテレビジョン「連載:坂東龍汰の推しごとパパラッチ」、Walkerplus「♡さゆりの超節約ごはん」を担当中。

カメラマン
ひとしねま

松田嘉徳

まつだ・よしのり 毎日新聞事業本部カメラマン