「GEM Partners」代表の梅津文さんが、独自のデータを基に興行を読み解きます

「GEM Partners」代表の梅津文さんが、独自のデータを基に興行を読み解きます

2022.1.27

データで読解:人気洋画でさらに弾みを

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

日本映画製作者連盟は、2021年の年間総興行収入が1618億9000万円だったと発表した。19年以前の7割程度だが、日本の映画興行の復興レベルは世界各国より高い。新型コロナウイルスの感染状況の違いもさることながら、自国製作映画の動員力の強さが背景にある。
 
興収上位作品も邦画アニメの存在感が際立った。「シン・エヴァンゲリオン劇場版」などが興収50億円を超えて、トップ3を独占。興収10億円以上の邦画は32作品を数え、合計も19年以前と比べて遜色のない1283億円。先週末の動員1位も、累積興収100億円が間近のアニメ「劇場版 呪術廻戦0」だった。

一方、大作の公開延期が相次いだ洋画は、一昨年より1作品多い5作が興収10億円を超えたものの、合計は336億円にとどまり、一昨年を下回った。

高年齢層を中心に映画参加者人口はコロナ禍前から3割以上減少し、感染状況も予断を許さない。しかし、今年は前作が興収80億円を超えた「ジュラシック・ワールド」など洋画大作の公開が増える見込み。先週末動員3位で大ヒット中の「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」をはじめ、人気シリーズ作品は動員力がある。足が遠のいた人々の復帰と、映画興行のさらなる活性化を期待したい。(GEM Partners代表・梅津文)