「GEM Partners」代表の梅津文さんが、独自のデータを基に興行を読み解きます

「GEM Partners」代表の梅津文さんが、独自のデータを基に興行を読み解きます

2021.9.23

データで読解:好発進 ヒット連鎖に期待

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

東野圭吾原作、木村拓哉、長澤まさみ共演の「マスカレード・ナイト」が、公開週末土日2日間で5.4億円の興行収入を上げ、動員ランキング1位の好スタートを切った。2019年公開の「マスカレード・ホテル」の続編。前作の6.3億円は下回るが、コロナ禍での営業自粛下において素晴らしいスタートだ。

映画参加者人口内での認知度、意欲度とも前作と同レベルで推移。テレビで宣伝が大規模に展開され、公開12週前から公開までの番組内露出量は前作を大きく上回る。露出量は本年公開映画の中でも「竜とそばかすの姫」に続く2位で、しっかりと話題度を高めていた。

ランキング中の大作も、コロナ前と比較しても健闘している。2位の「竜とそばかすの姫」は累計興収60億円を超え、細田守監督作品の記録を更新。6位のアニメ「僕のヒーローアカデミア」は30億円と、前作の17.9億円を大きく上回る。8位の洋画「ワイルド・スピード ジェットブレイク」も累計35億円で、シリーズ最高の「アイスブレイク」の40.5億円に迫る。

多くの期待作の公開も控える中で「マスカレード・ナイト」の好スタート。コロナ前に迫る、あるいは超えるヒットの連鎖で、以前のように映画館も人々の心も沸く期待を抱かせる。(GEMPartners代表・梅津文)=毎月最終金曜掲載