「Never Goin’ Back / ネバー・ゴーイン・バック 」©2018Muffed Up LLC. All Rights Reserved.

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2022.12.16

特選掘り出し!:「Never Goin’ Back 」 痛々しい生命力きらめく

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

「グリーン・ナイト」のデビッド・ロウリー監督の妻でもある女優オーガスティン・フリッゼルの長編初監督作。米国ではA24が配給したインディーズ映画だ。

アンジェラ(マイア・ミッチェル)とジェシー(カミラ・モローネ)は高校を中退し、同居生活を送る親友同士。2人はジェシーの17歳の誕生日を海辺のリゾート地で過ごす計画を立てるが、思わぬ災難の連鎖に見舞われていく。

監督自身の実体験に基づく本作は、家賃も払えない最悪の日常を生きる少女たちを描いた青春コメディー。ドラッグやパーティー、排便や嘔吐(おうと)などのお下劣ネタが盛り込まれ、2人の無軌道な言動に顔をしかめる人もいるだろう。

しかし保護者もおらず、ファミレスで働くアンジェラとジェシーは、自力で旅費や生活費を工面し、ささやかな喜びや夢をたぐり寄せようと奮闘する。後先を見ないその〝手段〟はとち狂っているのだが、悲惨な現実の中に刹那(せつな)的にきらめく少女たちの親密な関係性、ばかばかしさと痛々しさがほとばしる生命力に魅了される。「スプリング・ブレイカーズ」「タンジェリン」あたりが好きな人にお薦め。1時間26分。東京・TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか。(諭)

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