シネマの週末

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2022.6.03

チャートの裏側:あえて問う根底の「戦争」

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

続編が前作と同じ主演者で、前作から36年ぶりの公開となったのは前代未聞だろう。トム・クルーズ主演の「トップガン マーヴェリック」だ。前作同様に大宣伝が展開され、大ヒットのスタートである。最終の興行収入で50億円超が見えた。興行史に名を刻む快挙と思う。

新型コロナウイルスの影響で、3回も公開が延期された。何回、映画館で予告編を見たことか。映画の存在が、相当刷り込まれた人も多かっただろう。満を持したトムの来日もあった。コロナ禍も以前よりは収まった。公開にまつわるすべてが、大ヒットを引き寄せた。

以上のことを前提に、作品が大絶賛の嵐になっている現状も踏まえ、あえて書く。本作のさまざまな要素が醸し出す巨大なカタルシスと、作品の根底にある「戦争」の存在とは、どのようなかかわりをもつのか。興行の爆発力を生んだ側面とも関係のある作品の根幹部分である。

本作の最大の見せ場となる戦闘機のアクション描写など、作品の原動力は「戦争」と緊密な関係をもつ。このメカニズムが、娯楽大作としての破格の躍動感、カタルシスを生む。映画は実に多角的な視点から成り立っている。本作は、その多角性において群を抜く。娯楽大作だからと、「面白い」だけの評価にとどめていいのか。違うと思う。

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