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2024.3.05
青木崇高「犯罪都市」で悪役 マ・ドンソクが直接指名 「プレッシャーより喜び」
日本刀と拳の対決――。韓国の人気シリーズ第3弾となる「犯罪都市 NO WAY OUT」で、悪役リキを演じるのは青木崇高だ。日本刀を手にするヤクザの解決屋という役どころで、「マブリー」の愛称で日本でも人気のマ・ドンソク演じるマ・ソクト刑事と、ダイナミックなアクションを繰り広げる。ヤクザに刀。私は当初、海外から見る日本の悪のステレオタイプが描かれるものかと思ったが、見てみると現実味に乏しいこともなく、ハラハラしながらのめり込んだ。犯罪都市チームの視点を日本の殺陣に取り入れた化学反応とは。
日本ヤクザ、汚職警官と対決 マ・ソクト
爽快なアクションが魅力のシリーズで、マ・ソクトは拳一つで悪党を打ちのめす怪物刑事だ。今作ではソウル広域捜査隊に異動となり、転落死事件を捜査。事件の背後に新種の合成麻薬と日本のヤクザが関わっているという情報をつかむ。一方、麻薬を横流しした組織員たちを処理しようと、会長の一条(國村隼)は「解決屋」のリキをソウルに送りこむ。さらに消えた麻薬の奪取をもくろむ「汚職刑事」のチュ・ソンチョル(イ・ジュニョク)も加わり、三つどもえの激戦に突入する。
青木のリキ役への起用は、今作でプロデューサーも務めるマ・ドンソクが自ら提案したという。オファーを受けた青木は「犯罪都市はバイオレンスなシーンがありながらもエンタメに昇華されている。キャラクターも魅力的だし、とにかく面白い。1作目のユン・ゲサンさん、2作目のソン・ソックさん、2人とも素晴らしく魅力的な悪役でした」と語り、そんな人気シリーズの悪役を担うということについて、「不思議とプレッシャーはなかった。挑戦できる喜びの方が大きかったのかもしれない」と明かす。
「犯罪都市 NO WAY OUT」©︎ABO Entertainment presents a BIGPUNCH PICTURES & HONG FILM & B.A. ENTERTAINMENT production world sales by K-MOVIE ENTERTAINMENT
一体感あった撮影現場
撮影現場には、チームとしての一体感があったという。「マ・ドンソクさんは『ムネ、困ったことがあったら何でも言ってくれ』と言ってくれた。プロデューサー、キャスト、監督の垣根なく食事をするなど、一緒に物作りをした仲間という感じで楽しかった」と振り返る。
犯罪都市シリーズで、外国人俳優が悪役を演じるのは初めてだ。青木は日本刀を用いたアクションや演技を用意周到に組み立てた。撮影前、過去に出演した映画「るろうに剣心」のアクションチームとトレーニングをし、映像を韓国に送り、フィードバックをもらって備えた。韓国のアクションチームが求めるダイナミックな動きと殺陣の動きは、少し異なっていた。「海外が求めるもの、この作品が求めるものを意識してみて、僕がこれまでやってきたのは、日本の武士の系譜から来る殺陣だった」と認識を新たにした。
「刀をぞんざいに扱うのは不自然」意見具申
異なる文化から生まれるギャップを理解した上で、「せっかく韓国映画に出るのだから、ハイブリッドでありたい」と要求に応えつつ、青木の側からも、譲れないものを投げかけた。例えば、日本刀を引きずる場面には異議を唱えた。「刀の認識が違う。『刀は精神性とリンクしているところがあるから、ぞんざいな扱い方は不自然だろう』と。互いの考えを掘り下げ、良い形でまとめることができた」と自負する。
豪快なアクションは、俳優やスタッフの緻密な仕事に裏付けられている。アクション映画では、互いを信じ合う気持ちが欠かせない。「役としては敵対していても、役者同士はものすごく信頼しています。そうでないと、結構すれすれを狙っているので本当に大けがをしてしまいますし。だからこそ、そのシーンの撮影が終わったらハグをしたりしています。体力的にもかなり大変でしたが、その分ちゃんと映り込んで、お客さんが喜んでくれるなって思います」
勧善懲悪でスカッと
今作は、マ・ドンソクが得意とするボクシングアクションの打撃感がさらに強化されている。「2作目では一発で決着していたとすれば、今回はリズム感があって連打するシーンが多い」(マ・ドンソク)というので、その変化にも注目だ。
「とんでもなく悪いやつを拳でたたきのめす、勧善懲悪のスカッとする映画。劇場で見て気分良くなってもらえたらうれしいと思います」と青木。息をのみ、ハラハラし、時にソクト刑事のチャーミングな姿にくすっと笑って、ジェットコースターのような緩急に身を委ねたい。