ひとしねま

2022.2.24

データで読解:熱いアニメ、裾野さらに

毎週公開される新作映画、どれを見るべきか? 見ざるべきか? 毎日新聞に執筆する記者、ライターが一刀両断。褒めてばかりではありません。時には愛あるダメ出しも。複数の筆者が、それぞれの視点から鋭く評します。筆者は、勝田友巳(勝)、高橋諭治(諭)、細谷美香(細)、鈴木隆(鈴)、山口久美子(久)、倉田陶子(倉)、渡辺浩(渡)、木村光則(光)、屋代尚則(屋)、坂本高志(坂)。

「劇場版 呪術廻戦0」が5週連続1位を獲得。先週末時点で、累計興行収入が116億円を超える大ヒットとなっている。

近年、映画興行市場におけるアニメの存在感が顕著だ。興収400億円を超えた「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が記憶に新しいが、興収数十億円規模のヒット作も数多い。アニメの実写劇場版も多数ヒットしている。

背景には、大規模なアニメファンの存在がある。最近実施した消費者向け調査結果では、あらゆるエンタメコンテンツのうち、「好き」「はまっている」「推している」ものの上位は、ほとんどアニメ作品が占めた。ファン層が厚く、消費金額・時間も多く、大きな経済圏を形成する。アニメでは「鬼滅の刃」が1位で、「呪術廻戦」が続く。

こうしたファンにとって、映画館に行くのは、テレビシリーズ鑑賞やグッズ購入など、ファンとしての活動の一環なのだ。映画館にファンが集まって、大好きなアニメのキャラクターに会い、大画面、良い音響で物語に没入する体験がイベント化している。そして劇場版がヒットするとそれ自体が多くのメディアで取り上げられ、さらにファン層の熱量が高まり、また裾野が広がる。アニメの劇場版のヒットは、アニメ産業、映画産業双方を盛り上げている。(GEM Partners代表・梅津文)