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PRウォルト・ディズニー・ジャパン

2023.12.08

「ウィッシュ」 <願う>ことの本当の意味とは―ディズニーの100年が詰まった心が熱くなる魔法のミュージカル体験

金子裕子

金子裕子

ミッキーマウスが初登場した「蒸気船ウィリー」(1928年)のあと「白雪姫」(37年)から昨年の「ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界」まで、61作ものディズニー・アニメーション映画を生み出してきたウォルト・ディズニー・カンパニーが1923年の創立から100年となった。100周年を記念して製作されたアニメーション映画「ウィッシュ」は、ディズニーの長い歴史に敬意を払い、数々の作品からインスパイアされて生まれたアイデアを生かした独創的なドラマチックミュージカルだ。

物語のキーワードは、<願い>と<星>。「ピノキオ」(40年)で歌われて以来、ディズニー・ソングとして有名な「星に願いを」を例に挙げるまでもなく、ディズニーのキャラクターたちはいつだって〝願い〟を抱き続け、うれしい時も悲しい時も、夜空の〝星〟を見上げて前に進んできた……。そんな脈々と受け継がれてきたディズニーのメッセージが込められた集大成ともいえる作品だ。
 


 
舞台は、地中海のかなたに浮かぶ魔法の国ロサス。18歳になった国民が国王マグニフィコに〝願い〟をささげれば、いつか王様が魔法で願いをかなえてくれると信じられていた。しかし世界中の魔法を学んだ王は、実は王国のためになると思った〝願い〟だけをかなえ、ほとんどの願いはかなえられることなく、王様に支配されていたのだった…。

ヒロインのアーシャは、哲学者の亡き父が教えてくれた「どんな時も星は私たちを導いてくれる」という言葉を信じる、明るく思いやりにあふれた17歳の心優しい少女だ。彼女の願いは、もうすぐ100歳になる祖父サビーノの〝願い〟がかなうこと。ある日、魔法使いである王の従者になる面接をうけることになるが、偶然にも全ての〝願い〟を王が支配していることに気づいたばかりか、願いをささげた人は心の一部が空っぽになり、自分の大切な願いを忘れてしまうことも知ってしまうのだった。

〝願い〟は王のものではなく、その人のもの。そう信じるアーシャは、みんなの〝願い〟を王から取り戻そうと強く願い、思い切った行動を起こすが・・・・・・。
 

引き継がれてきた〝妙技〟願いの力を豊かに表現

〝願い〟という、目には見えない〝思い〟を可視化する豊かなイマジネーションに驚かされ、美しく幻想的な映像にひたすら魅せられる。さらにアーシャのひたむきな願いに応えて、空から願い星の〝スター〟が降臨するというアイデアも斬新だ。〝スター〟が、好奇心旺盛でいたずら好きというキャラ設定もキュートで愛らしい。聞けば、古典的映画のシークエンスにコンテンポラリーをミックスしたシナリオを元に、映像はかつてのディズニー作品をおもわせるタイムレスな水彩画と3DCGアニメーションのブレンドをディズニーが開発した新技術で表現しているとか。さすが、伝説のアニメーターたちから100年にわたる〝妙技〟を引き継いだ「アナと雪の女王」のフィルムメーカーたちが、集結して作っただけのことはある。

 

「ようこそ、ロサス王国へ」 口ずさみたくなる多彩な楽曲

もちろんミュージカルの成否を分けるのは楽曲だ。今作では、ブリトニー・スピアーズやセレーナ・ゴメスなどに楽曲を提供しているシンガー・ソングライターのジュリア・マイケルズが全7曲を書き下ろした。多彩な楽曲が物語をより深く、壮大にしている。アーシャの声を担当するのは、スティーブン・スピルバーグ監督の「ウエスト・サイド・ストーリー」(2021年)でアニータを演じてアカデミー賞助演女優賞を受賞したアリアナ・デボ―ズ。その美しく力強い歌声とエモーショナルな表現力には定評ありだ。まずは冒頭で歌う「Welcome to Rosas」。「ようこそ!ロサス王国へ」というエスニック風味の利いたリズミカルな曲で心弾み、楽しい魔法の国へ一気に誘ってくれる。そしてなによりの聴きどころ&見どころは、テーマ曲「ウィッシュ~この願い~」。愛する人たちのために強く星に願うアーシャの心情とシンクロした繊細にして芯のある歌声は、心に響く。「アナと雪の女王」の「レット・イット・ゴー~ありのままで~」のように誰もが口ずさむ一曲となりそうだ。

その他にも、アーシャの相棒の子ヤギのバレンティノや花や動物たちが〝スター〟の魔法にかかってしゃべれるようになって歌う「誰もがスター!」も、みんなに希望を与えてくれる軽やかな楽曲で、往年のミュージカルを思わせるクラシカルな構図など、映像にも技ありだ。
 
王国を脅かす王マグニフィコの声優は、「スター・トレック」シリーズのカーク船長役(09年~)でおなじみのクリス・パイン。「輝く願い」ではアーシャと楽しいデュエットを披露するが、極めつきは「無礼者たちへ」。自分たちの願いに危険が迫っているのではと不安になった国民たちに「〝願い〟はどうなっているのか」と迫られて、「なんて無礼な。忘れるな。感謝の気持ちを!」と怒り爆発。いやー、以前からイケメン俳優として認知はしていたけれど、〝世界一ハンサムな王〟の役にぴったりだとは思っていたけれど、こんなに歌が上手だったなんて。おみそれしました! 
 

描き続けた〝思い〟が詰まった リピート必至の名作

 最後に、ディズニーが100年にわたって描き続けてきた〝思い〟がぎっしり詰まっているだけに、トリビュートなネタも尽きない。「白雪姫」や「ピノキオ」や「ピータ・ーパン」など、新旧おなじみのキャラクターや思い出の名場面などを想起させるネタがちりばめられているだけでなく、エンドロールにまで感動のオマケあり。これじゃ、ディズニーのファンならずともニンマリしつつ、チェックするのに大忙しだ。例えばアーシャを応援する仲間も7人だから、なんとなく白雪姫の小人のキャラと照らし合わせてみたりして・・・・・・。

とにかく、隅々まで味わうにはリピート必至ですね。

ライター
金子裕子

金子裕子

かねこ ゆうこ 映画ライター 映画ペンクラブ会員
 「週刊平凡」「HANAKO」(ともにマガジンハウス刊)などでキャリアをスタートさせ「CREA」(文藝春秋社)などの女性誌を始め、映画専門誌などで映画紹介、俳優・監督インタビューなどを執筆。現在「SWEET」宝島社)、「DUET」(ホーム社)、雑誌&Web「チャンネルガイド」(日宣)、「毎日が発見」(KADOKAWA)、「Stereo Sound ONLINE映画スターに恋して」などでレギュラー執筆。共著として「KEEP ON DREAMING 戸田奈津子」「ときめくフレーズ、きらめくシネマ」(ともに双葉社刊)